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2022/01/11 14:14

しかし、ポール・スプーナー氏に会い、彼の話を聴くにつれ「作家の人柄を知ること。作品を深く観察し理解すること。更にそのことを根気よく重ねること。」こうしたことが美術家やそのコレクターの基本、いや人としての基本であり、いかに大切なことであるかに気がついたのです。いや、気付かされたのです。

例えばコレクターに限らないのですが、ひとつの仕事や技を極めるということは、それまでの私であれば、全ては仕事から学ぶ。仕事を通した経験を尊重する。仕事から得た経験値を持ってさらに仕事を推進し実践する。そこに間違いがあれば修正するという延長線をなぞるだけの存在に過ぎませんでした。


それはある意味正しいかもしれませんが、基本を仕事に置くのではなく、おのれの日常や人生の一部に仕事があり、自分とその家族という生活が土台として築かれていなければ、おそらく仕事は人を成長させる役にはあまり役には立たないのではないでしょうか。魂の入っていない御仏を作り続けるようなものです。

つづく

*スプーナー氏の自宅で昼食をご馳走になったのだが、その準備をしてくださっているご夫妻の様子をパチリ。