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2022/12/17 10:43

玉の輿に乗る:女工と御曹司の恋物語

時代は産業革命時代。舞台はイギリスの某紡績工場。

向かって右がトフ(Toff)。トフは日本語で「上流階級の人」とか「紳士」「しゃれもの」という意味を持ちます。

スプーナー氏は、トフを紡績工場の御曹司という設定で登場させています。父親が一代で築いた工場をやがて引き継ぐであろう彼は、まるで顔に「おぼちゃま」と書かれたかのような実に香ばしい、絵に描いたような御曹司でございました。

ところが、その御曹司があろうことか親が経営する紡績工場の女工(Mill Girl)にひとめ惚れをしてしまいます。のぼせ上ったトフ。
彼は自身に魅力が足りないと臆したのか、ダイアモンドの力を借り貧しい女工に結婚を迫ります。

驚いたビックリした女工は両目がまさに飛び出しています。スプーナーらしい描写ですね。ここまでは微笑ましいのですが...話はこれで終わりません。

彼らの足元で激しく回転するカム。よく見ればそれは棺桶であることに気づいかれた方もおられるのではないでしょうか?ひとつは少しゴージャス。マホガニーで作られ王冠までついています。

しかし、もう片方は、なんとチープな。白木ではありませんか。さらに
Nobody」と書かれています。「名もなき人」として葬られたということなのですね。結局、身分の差は墓場までも続くというのが英国流の「玉の輿」なのかもしれませんね。


補足
わたしは「名もなき人」という言い方をしましたが、ある方に言わせると「名前がないというよりも、記録するに値ない社会的身分の低い人を差している」と言います。トフは逆に身分の高い「somebody」であり、産業革命の時代のイギリスでは、身分の高い人は自分より高い人との関係を主張したり、自分より下の人とのかかわりを避ける傾向があったとも。彼の家族から見れば彼女は「知る」に値しない人物なので、よくても透明な存在になってしまうということなのだそうです。今のイギリスではそうではないと思いますが...